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微粒子分析

医療機器の微粒子試験では、機器上または溶液中の粒子の量やサイズの測定を目的とします。TIR 42の追加により、微粒子の大きさだけではなく、その形状、識別、量にも焦点が当てられるようになりました。

微粒子状物質が、溶液中で溶解しない粒子(ガス気泡以外)を形成し、機器上または液中に予期せず存在します。微粒子状物質は、処理中の多くの原因に由来する可能性があります。注射液に関する限界は適切な薬局方(EP、USP、JPなど)に示されています。しかし、その他の基準に医療機器の手順が少数示されてはいますが、機器の大部分に関して、具体的な試験手順や限界案は示されていません。2010年、新たにAAMI/TIR 42基準(Evaluation of Particulates Associated with Vascular Medical Devices)が発表されました。

医療機器の微粒子試験は、注射剤、非経口注入剤、および医療機器に実施されます。非経口投与製品または医療機器に関して、1つの試験方法が規定されていないため、NAMSAは試験対象の全ての検体に関して個別に試験仕様を作成します。これは、検体到着前に準備することもできます。微粒子分析を実施する際には、製造、滅菌、出荷、配送、包装、保管、他の機器との併用が、医療機器の微粒子レベルにどのような影響を及ぼすのかに配慮します。

方法

注射(非経口投与)剤に関しては、別途規定がない限り、USP手順に従って微粒子試験を実施します。医療機器に関しては、別途規定がない限り、USP手順に従って溶液中の微粒子状物質を分析します。特殊な手順による微粒子試験(ISO、EP、JP)が必要な場合は、お問い合わせください。

USP<788>注射剤および<789>点眼液によると、光遮蔽法と顕微鏡法が微粒子状物質の分析に用いられます。USPには、光遮蔽法の使用が望ましいと記載されています。この方法では限界が適合せず、または製品の試験ができない場合(例:溶液が有色の場合、粘度が高過ぎて希釈できない場合など)は、顕微鏡法を使用し、または両方の手法を用いて溶液中の粒子数を判定します。

光遮蔽法:本手法では、光遮蔽式微粒子分析装置を用いて、機器の洗浄液または注射剤を分析します。装置を用いて、抽出物5 mLの4試料を分析し、最初の計数データは破棄します。2回目から4回目までの計数値の平均値を算出し、全抽出物の値を埋め合わせます(または1 mL当たりの粒子数で報告します)。 この手法の利点は、簡単迅速に微粒子を計数でき、溶液中の微粒子数が多い場合でも計数できる点です。本手法の実施には、最低25 mLの溶液が必要です。

顕微鏡法:本手法では、0.8 μmの灰色グリッド付きフィルターを用いて、機器の洗浄液または注射剤をろ過します。倍率100倍の顕微鏡を用いてフィルターを計数し、粒子数を判定します。本手法では、試液全体の粒子を計数します。欠点は、粒子数が多過ぎると計数できず、または部分的にしか計数されない点です。試験は作業負担が大きいため、光遮蔽法より長時間を要し、多くの費用を要します。

顕微鏡法から得られたデータは低い値を示す傾向があるため、薬局方では、顕微鏡法の限界値を下げることにより差異を補正しています。両手法では、10 μm超および25 μm超の粒子を計数します(USP<789>点眼液の場合は50 μm超)。 注:要請に応じて、他の大きさの粒子も計数します。

医療機器の試験手順はUSPに掲載されていないため、試験法および機器からの微粒子除去手順の判断は、治験依頼者に委ねられています。手順には、フラッシング、充てん、被覆、音波処理、すすぎ処理などがあります。

識別

医療機器上の微粒子状物質の検査および特性評価において、微粒子および潜在物質源の識別特性も重要な検討事項です。各種微粒子の識別特性、発生源、潜在毒性と同時に、微粒子のサイズや形状、量にも配慮することが重要です。全ての粒子を特定するよう期待されているわけではありませんが、適切な場合、識別を試みるべきです(微粒子レベルが限界値を上回り、必要に応じて粒子の発生源を特定したほうがよい場合など)。